おまへさらずもてなさせたまひし おまえさらずもてなさせたまいし 御前去らずもてなさせたまひし 御前去らずもてなさせたまいし 御前去らず持てなさせ給ひし 御前去らず持てなさせ給いし 御前去らず持てなさせ給ふ 01-011
「させ」は使役。「まつはさせ」「参う上らせ」の「させ」「せ」と同じである。「去らず」と「もてなす」は並列で使役「させ」にかかる。帝の御前から下がらせず、世話をおさせになった。「去る」「もてなす」は桐壺更衣に帝がそうさせた。「たまひ」は尊敬語。
おぼえいとやむごとなく上衆めかしけれど わりなくまつはさせたまふあまりに さるべき御遊びの折々何事にもゆゑある事のふしぶしにはまづ参う上らせたまふ ある時には大殿籠もり過ぐしてやがてさぶらはせたまひなど あながちに御前去らずもてなさせたまひしほどに おのづから軽き方にも見えしを
帝からの引きはこれ以上にないほどで女御の風格をお備えでしたのに、帝がむやみと側にお留になるばかりに、立派な管絃の会の折りや格式あるどんな行事にも真っ先にこの方をお召し上げになる、時には共寝したまま起きそびれそのまま側仕えをおさせになるなど、強引にお手元からお放しにならないうちに、おのずと品下る方と見られもしたものですが、