ことあるとき ことある時 事ある時 01-006

2021-04-13

何か大事なことがあった場合。宮中の諸儀式という公的な場以外で、具体的に一番大事なことは、帝の子を宿すこと。「懐妊と里下がり/01-004」「心細再考/01-004」参照


父の大納言は亡くなりて 母北の方なむいにしへの人のよしあるにて 親うち具しさしあたりて世のおぼえはなやかなる御方がたにもいたう劣らず なにごとの儀式をももてなしたまひけれど とりたててはかばかしき後見しなければ 事ある時はなほ拠り所なく心細げなり

父の大納言はお亡くなりの中、母は家柄の古い教養豊かなお方で、二親そろった当節評判で勢い盛な女御方にもさほど見劣りすることなく、宮中の諸行事をもまかなっておいででしたが、娘には取り立てて力のある後ろ盾はなかったので、人生の大事が訪れた時にはやはり頼みとするあてはなく心細い様子でした。

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