かうい こうい 更衣 01-001
大納言以下の中流貴族の娘(四位または五位)がつく位で、帝の正妻にはなれない。しかし、そうしたルールなどなきがごとくに、帝は中流の桐壺更衣を熱愛する。物語のこの時点では、皇后 中宮ともに空位であり、東宮も冊立されておらず、桐壺更衣が御子をもうけようものなら、正妻の地位があやういばかりか、更衣腹の御子が東宮に擁立されかねないと、女御たちは恐々としている。
いづれの御時にか 女御更衣あまたさぶらひたまひけるなかに いとやむごとなき際にはあらぬが すぐれて時めきたまふ ありけり
いづれの御代とも申しかねますが、女御更衣があまた宮仕えなさっているなかに、取り立てて高貴ではないお方が、今を時めき帝の寵愛をひと際お集めになっておられました。