かたくなになりはつる かたくなになり果つる 頑なになり果つる かたくな 頑な かたくななり 頑ななり 01-073

2021-06-11

「かたくな」は忠臣の意見を入れないこと。帝にとって大切なことは、昼は政治であり、夜は後宮での生活である。それを考慮に入れるならば、特定はしづらくとも、ある程度絞ることができる。即ち、桐壺更衣のことは忘れて、政治と後宮の生活にもっと身を入れること、それができていいない、過去にしがみついた状態が「かたくな」の実質的な意味であろう。「御方がたの御宿直なども絶えてしたまはず/01-047」「朝に起きさせたまふとても 明くるも知らでと思し出づるにも なほ朝政は怠らせたまひぬべかめり/01-102」


我が御心ながら あながちに人目おどろくばかり思されしも 長かるまじきなりけりと 今はつらかりける人の契りになむ 世にいささかも人の心を曲げたることはあらじと思ふを ただこの人のゆゑにて あまたさるまじき人の恨みを負ひし果て果ては かううち捨てられて 心をさめむ方なきに いとど人悪ろうかたくなになり果つるも 前の世ゆかしうなむと うち返しつつ 御しほたれがちにのみおはしますと 語りて尽きせず

おのが御心ながらあながちに人目を驚かせるばかりに思われたのも、長く続くはずもないことであったと、今はつらく思われるえにしで、つゆいささかも人の気持ちを損ねる気など思ってもみないことなのに、ただこの人ゆえにあまたの受けずともよい人の恨みを負った果て果てが、こんな風に一人うち捨てられ、心を静めるすべもないうえに、ますます恥も知らず頑なに成り果ててしまったのも、どうした前世の因縁か知れるものならと、帝を責める母君の言葉を切り替えしながら、悲嘆の涙に暮れてばかりおいでですと命婦は語って尽きることがない。

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