かつはをかしけれど かつはおかしけれど をかし おかし 02-093
「かつは」は相反する二つのことがらに引き裂かれているアンビバレントな状態を言う。ここで相反するのは、坊主の説教と睦言。その両方に、物語の語り手は興味を示している。
法の師の世のことわり説き聞かせむ所の心地するもかつはをかしけれど かかるついではおのおの睦言もえ忍びとどめずなむありける
左馬頭を囲む様子は法師が世の定めを説き聞かせる聴聞所のような感じがして興味がそそられたが、こうした機会にはそれぞれ秘め事までも隠し切れないことも興味をそそるのだった。