こころやすく 心安く こころやすし 心安し 02-006
文構造としては、「心安く」で切る読み方(連用中止法)と、「振る舞ひたり」にかける連用修飾の二つの読み方が可能である。連用中止と考えると、頭中将と光源氏は心安かったことが既定の事実となり、修飾語であれば頭中将は光源氏に対して心安く接したが、光源氏の方からも心安かったかどうかは不明となる。どちらがよいかは、頭中将と光源氏の関係をどうとらえるか、物語全体に関わる問題である。わたしは光源氏は頭中将に心を開くことはなかったと考えるので、中止法の読み方は採用できない。
宮腹の中将は なかに親しく馴れきこえたまひて 遊び戯れをも 人よりは心安く なれなれしく振る舞ひたり
皇女腹の頭中将は中でも若君に親しくお慣れ申して、公の催しや私的な座興の場でも他の人よりは心安く馴れ馴れしく振る舞っていた。
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