うだのみかどのおほむいまし 宇多の帝の御誡め 01-119
宇多天皇が幼少の醍醐天皇へ譲位するに際して与えた心得のひとつ、「外蕃ノ人必ズ召見ス可キ者ハ、簾中ニ在テ之ヲ見ル、直対ス可カラズ」を指すとされる。本文の趣旨と史実にはズレがあるが、帝は直接、外国人と接してはならない、引いては、滅多なことで外国人を宮中に入れてはならないものとして、物語に用いられているようだ。
そのころ 高麗人の参れる中に かしこき相人ありけるを聞こし召して 宮の内に召さむことは 宇多の帝の御誡めあれば いみじう忍びて この御子を鴻臚館に遣はしたり
その頃、高麗人が来朝した中に人並み外れた人相見が来ていることを帝はお聞きあそばされて、宮中に招くことは宇多天皇の御遺誡があることなので、至極内密に、この御子を鴻臚館(こうろかん)にお遣わしになられたのです。