なかなかなる なかなかなり 01-014
中途半端だ、そのくらいならしない方がましだというのが語の意味だが、中途半端で終わるくらいなら帝の愛情を受けるのではなかったと解釈するのは誤りである。死の運命が身近く感じるがゆえに帝との愛を全うできないことが半端なのである。すなわち、光源氏を皇太子につける前にこの世を去ることになるという運命を呪っているのだ。決して帝の愛情を否定しているのではない。この解釈が誤ると桐壺の母に対しても読み誤る。
かしこき御蔭をば頼みきこえながら 落としめ疵を求めたまふ人は多く わが身はか弱く ものはかなきありさまにて なかなかなるもの思ひをぞしたまふ
もったいないご加護をお頼み申し上げながら、おとしめあらさがしをされる方が多く、自身は病身で先が頼めない身そらであり、帝のご寵愛を全うし得ずかえって逃れ得ぬ死を感じ取っておいででした。