おにとこそむかひゐたらむ 鬼とこそ向かひゐたらむ 鬼とこそ向かいいたらむ おにとこそむかいいたらむ 02-115
鬼と向かい合って過ごす方がよかろう。「ゐる」は座る。滞在する。住む。「む」は二人称に対して勧誘。すでに完了したことに対して「む」は使用しないので、鬼と対峙していたのだろうなどの解釈は無理がある。それなら「けむ」。
いづこのさる女かあるべき おいらかに鬼とこそ向かひゐたらめ むくつけきこと と爪弾きをして 言はむ方なしと 式部をあはめ憎みて すこしよろしからむことを申せ と責めたまへど
「どこぞの子女にそんなのがいよう。いっそのこと鬼と暮らしたがよかろう。気味が悪いと言った」と爪弾きをして、「何とも評しようがないな」と式部を小馬鹿にし腐して、「もっと実のある話を申せ」と頭中将はお責めになるが、