しくものぞなき 02-144

2021-01-14D:古典一般に見られる語彙

これ以上のものはないという漢文表現。「しく」は漢文表現「如く」と「敷く」をかける。「床」と「敷く」は縁語。女が、自分はともかく子供に愛情を注いでやってほしいと詠んできた歌を受け、そうは言ってもやはり親であるあなたが一番なのだ、子供は頭を撫でてやったが、あなたとは床でむつみ合った仲なのだからという意味。撫子と床撫づ(常夏)でどちらにも「撫づ」が使われているのがポイント。歌は雅と決めつけるのは王朝文化が途絶えた後のこと、平安文学にはかなり際どい表現が見られ、ことに源氏物語はそうした卑俗性に支えられている面があり、見落とされがちである。


咲きまじる色はいづれと分かねどもなほ常夏にしくものぞなき

咲き混じれば大和撫子も唐撫子も美しさこそいずれを甲乙つきかねますが、やはりわたしには常夏の花が一番です、子は頭を撫でただけですが、あなたは床で撫であった仲なのですから。

2021-01-14D:古典一般に見られる語彙

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