ひろはばきえなむとみるたまざさのうへのあられ 拾はば消えなむと見る玉笹の上の霰 ひろわばきえなむとみるたまざさのうえのあられ 拾わば消えなむと見る玉笹の上の霰 02-107
拾い取ろうとすると消えてしまうように見える笹の上の霰。対句の関係から「艶」を象徴すると考えられる。元は漢詩のようだが不明。艶であり、掌中にいれながら、自分のものにはならなかった朧月夜を暗示する。
御心のままに 折らば落ちぬべき萩の露 拾はば消えなむと見る玉笹の上の霰などの 艶にあえかなる好き好きしさのみこそ をかしく思さるらめ 今さりとも 七年あまりがほどに思し知りはべなむ
御心のままに手折ればこぼれ落ちてしまいそうな萩の上の露や、手にとれば消えてしまう笹の葉の上の霰のような、なまめかしくひ弱で色っぽい女性ばかりにご興味がおありでございましょうが、いまはそうでも七年あまりもたつうちにはきっとお分かりになっておられましょう。