さすがに さすが さすがなり 02-097

2021-06-01

女の方から「かたみに背きぬべききざみになむある/02-100」と別れを切り出したのだが、いざ男が歌を詠み、それが売り言葉に買い言葉の域を脱して、霊的レベルで約束するとなると、女の方もさすがに感極まって。歌を詠むことは言葉に自らの思いを言霊に乗せて相手に伝えることであり、受け取った側もそれを口に出して読むことで、言霊に乗った思いを受け入れ自らの魂を震わせることになる。歌を詠み合うというのは、精神の交流であり、それによって別れを伝えることは精神的にも別れを意味する。


さすがにうち泣きて 憂きふしを心ひとつに数へきて こや君が手を別るべきをり など言ひしろひはべりしかど

女はさすがに泣き出して、つらい思いを心ひとつにしまってきました、今度こそ君と手を切りしまいにすべき折りです、などと歌で応戦し合いましたが、

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