ならびたまひ 並びたまひ ならびたまい 並びたまい ならびたまふ 並びたまふ 01-140
「匂はしさはたとへむ方なくうつくしげなる」点で光源氏と藤壺の宮は並び立つ。それゆえに藤壺も光のイメージになる。光源氏と藤壺は「にほひ=光」で共通する。光源氏の次世代にも「にほひ」は受け継がれるが、「にほひ=香」にランクが下がる。世代によりランクが下がるという考え方は末法思想の影響かもしれない。
世にたぐひなしと見たてまつりたまひ 名高うおはする宮の御容貌にも なほ匂はしさはたとへむ方なくうつくしげなるを 世の人 光る君と聞こゆ 藤壺ならびたまひて 御おぼえもとりどりなれば かかやく日の宮と聞こゆ
帝が世に類なしとお見立て申し上げる若宮であり、名高くいらっしゃっる東宮の御容貌であっても輝くように匂い立つ美質は比べようがなく愛らしく見えるので、世の人は、光の君とお呼び申し上げた。藤壺の宮は輝く美しさがこの君に並ぶもので、帝のご寵愛は引けを取ることがなかったので、世の人は、輝く日の宮とお呼び申し上げた。