よにたぐひなしとみたてまつりたまひ 世にたぐひなしと見たてまつりたまひ よにたぐいなしとみたてまつりたまい 世にたぐいなしと見たてまつりたまい 01-140
一の宮に対して、「寄せ重く疑ひなき儲の君と世にもてかしづききこゆれどこの御にほひには並びたまふべくもあらざりければ(世の信頼が厚く、紛がうことなき次期皇太子だと、世間は大切に慈しみ申し上げているけれど、宮が放つ魅力には及ぶべくもないことなので)/01-009」とあり、光源氏と「にほひ」が比較されている。一の宮が東宮になる前の時点での比較だが、「なほ」は以前と同様に東宮となった今でも。「日と光」参照。
世にたぐひなしと見たてまつりたまひ 名高うおはする宮の御容貌にも なほ匂はしさはたとへむ方なくうつくしげなるを 世の人 光る君と聞こゆ 藤壺ならびたまひて 御おぼえもとりどりなれば かかやく日の宮と聞こゆ
帝が世に類なしとお見立て申し上げる若宮であり、名高くいらっしゃっる東宮の御容貌であっても輝くように匂い立つ美質は比べようがなく愛らしく見えるので、世の人は、光の君とお呼び申し上げた。藤壺の宮は輝く美しさがこの君に並ぶもので、帝のご寵愛は引けを取ることがなかったので、世の人は、輝く日の宮とお呼び申し上げた。