そしり 誹り 譏り 謗り そしる 誹る 譏る 謗る 01-004
面と向かった意見ではなく、陰口。この後に、臣下である上達部や殿上人も視線を外し、「楊貴妃の例(ためし)/01-005」まで引き合いに出しかねない様子だったとあり、弘徽殿の女御以外は、帝にはっきり意見は言えなかった。従って非難する等の注は考えものだ。
朝夕の宮仕へにつけても 人の心をのみ動かし 恨みを負ふ積もりにやありけむ いと篤しくなりゆき もの心細げに里がちなるを いよいよあかずあはれなるものに思ほして 人のそしりをもえ憚らせたまはず 世のためしにもなりぬべき御もてなしなり
朝夕の宮仕えにつけても、女房たちの心を掻き乱し、恨みをこうむることが度重なったせいだろうか、具合はひどくなるばかりで、後見のない心細さに打ちひしがれながら里へ帰りがちになる姿に、帝はますます癒しようもなく愛しさをつのらせ、周囲がもらす陰口も気にとめるご様子なく、後の世までの語り種ともなりかねないご寵愛でした。