たのむ 頼む 02-108
自動詞用法。女が頭中将を頼りにする。
さばかりになれば うち頼めるけしきも見えき 頼むにつけては 恨めしと思ふこともあらむと 心ながらおぼゆるをりをりもはべりしを 見知らぬやうにて 久しきとだえをも かうたまさかなる人とも思ひたらず ただ朝夕にもてつけたらむありさまに見えて 心苦しかりしかば 頼めわたることなどもありきかし
それほどの仲になってみますと、少しは夫としての信用を勝ち得たようにも見えました。頼むとなれば恨めしいと思うこともあろうと一人推量される折々もあったのですが、気にも留めておらぬふうで、久しく通いが途絶えてもこんなにも足が遠いかとなじる様子もなく、ただ朝夕の仕度に専念しようとしている様子が見て取れいじらしく思われたので、いつまでも頼りにするよう幾度となく言って聞かせたりなどもしました。