さることとはおぼすべかめり さることとは思すべかめり 02-107
そうとはお思いになりながら。後に「ながら」など、でもねという否定のニュアンスが省略されている。
中将 例のうなづく 君すこしかた笑みて さることとは思すべかめり いづ方につけても 人悪ろくはしたなかりける身物語かな とて うち笑ひおはさうず
頭中将は例のごとくうなずく。光の君はすこしうす笑いを浮かべながらもそうではあろうがとお思いのようだ。「誰の身に起きたとしても外聞悪くみっともない身の上話だな」とおっしゃり、みな思わずお笑いになった。