えんに 艶に 02-103
なまめかしい、色っぽい。指を喰う女が「艶なる歌も詠まず/110」とされていたのと対照的である。
この人亡せて後 いかがはせむ あはれながらも過ぎぬるはかひなくて しばしばまかり馴るるには すこしまばゆく 艶に好ましきことは目につかぬ所あるに うち頼むべくは見えず かれがれにのみ見せはべるほどに 忍びて心交はせる人ぞありけらし
例の女が亡くなってからはいかんせん、愛しくとも死んでしまっては頼み甲斐がなくて、といって度々通い馴れるには目を覆いたくなるほどあだっぽく多情な質は性に合わぬところがあるため生涯の伴侶として頼める女には見えなくて、とだえがちにのみ姿をみせるうちに隠れて情を通わす男ができたらしいのです。