のどやかにみしのばむよりほかにますことあるまじかりけり のどやかに見忍ばむよりほかにますことあるまじかりけり 長閑やかに見忍ばむよりほかに増すことあるまじかりけり 02-082
左馬頭の発言「恨むべからむふしをも憎からずかすめなさば、それにつけてあはれもまさりぬべし。多くは、わが心も見る人からをさまりもすべし/02-076 /02-077」を受ける。ただし、左馬頭は女に耐えることを要請したのに対して、頭中将は男である光源氏に忍耐を要請した点で、得手勝手な論になっている。
ともかくも 違ふべきふしあらむを のどやかに見忍ばむよりほかに ますことあるまじかりけり と言ひて わが妹の姫君は この定めにかなひたまへりと思へば 君のうちねぶりて言葉まぜたまはぬを さうざうしく心やましと思ふ
(頭中将)とにもかくにも、気のそまぬ点があろうとゆったりかまえ辛抱するよりほかいい手立てはないでしょうねと言って、自分の妹君である葵の上はこの結論通りでおられると思うが、光の君は狸寝入りして言葉をお挟みにならないので頭中将はじれったくいらだたしく思う。