かかれど人の見及ば 帚木06章06

2021-04-18

耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉

語りの対象:非現実を描いた絵現実を描いた絵

分岐型・中段型:A→{B→C|D→(E+F+G)|}→H:A→H、B→C、D→(E+F+G)

かかれど》A
そうではありますが、


人の見及ばぬ蓬莱の山 荒海の怒れる魚の姿 唐国のはげしき獣の形 目に見えぬ鬼の顔などのおどろおどろしく作りたる物は》B
人目では捉えられない蓬莱の山、荒海の恐ろしい魚の姿、唐の国の猛々しい獣の形、目に見えない鬼神の顔などおどろおどろしくこしらえた絵なんかは、


心にまかせてひときは目驚かして 実には似ざらめどさてありぬべし》C
心まかせにひときわ人の目を驚かすねらいであって、実物には似てないにしてもそれはそれでよいでしょう。


世の常の山のたたずまひ水の流れ 目に近き人の家居ありさま げにと見え》D
世間のどこにでもある山のたたずまい水の流れ身近な人家の様子を、なるほどこういうものだなと受け止め、


なつかしくやはらいだる形などを静かに描きまぜて》E
慣れ親しんだ穏やかな形などが丹念に描きこんだり、


すくよかならぬ山の景色木深く世離れて畳みなし》F
険しくはない山なみが木深く人里から離れて重なりあう一方で、


け近き籬の内をばその心しらひおきてなどをなむ》G
近景のまがきの中の配置に心配ったりする際には、


上手はいと勢ひことに 悪ろ者は及ばぬ所多かめる》H
名人はなるほど筆勢に差が生じ、未熟者には及ばぬところが多いようです。

  • 〈直列型〉:修飾 :倒置 
  • 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
  • 〈中断型〉//:挿入 :文終止・中止法
  • 〈反復型〉~AX:Aの言換えX ,AB:Aの同格B
  • 〈分配型〉A→B*A→C

 A→B:AはBに係る
 Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む
 ※直列型は、全型共通のため単独使用に限った

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